Tom Zé Japão Tour 2019


FRUE presents

Tom Zé  Japão Tour 2019

10.31(木) @三鷹市公会堂 光のホール
11.3(日) FESTIVAL de FRUE 2019@静岡県掛川市

類なき鬼才トン・ゼー(82歳)、奇跡の初来日!

トン・ゼーは、60年代末にブラジルの音楽、文学、演劇、美術等のあらゆる文化に革命をもたらしたムーヴメント・トロピカリアを生み出した表現者の1人です。
サイケデリックで前衛・実験的な音楽性やパフォーマンスは、古くはブラジルのフランク・ザッパなどとも喩えられることもあるし、最近でいえばVoodoohopに代表されるような南米スローハウスの原点であり元祖とも言えます。また、彼の独特の歌い回しは、ベックやマック・デマルコはじめ世界中のシンガーソングライターに広く影響を与えています。
そして、今回の日本公演では、音楽を通じてブラジルの保守的な価値観、さらには既成の規律やモラルを打ち破ることを目指した永遠のトロピカリスタの世界観を余すことなく伝えるため、彼の歌う詩や言葉を日本語訳しスクリーンに投影します。
この、いまだ枯れることなく、湧き続ける奇跡の源泉に触れられる機会をお見逃しなく!
おそらく最初で最後、のちに語り継がれる二夜となるでしょう。

Tom Zé Japão Tour 2019

10.31(木)
Tom Zé in Tokyo
場所:三鷹市公会堂光のホール
(東京都三鷹市野崎1丁目1-1)

開場:18:30 / 開演:19:30

前売チケット
SS席:15,000円 
S席:12,000円
A席:10,000円
B席:8,000円

WEB shopで購入

※全席指定。
※座席番号の掲載されたチケットを8月1日以降に送付します。
※主催者の同意のない有償譲渡を禁止します。
※未就学児入場不可

11.2(土)-3(日)
FESTIVAL de FRUE 2019
場所:静岡県掛川市 つま恋 リゾート彩の郷(静岡県掛川市満水(たまり)2000

LINEUP:
Tom Zé 
ACIDCASE: 
Acid Pauli
Geju
Aex
Billy Martin 
Carlos Niño
Carista
Cedric Woo
cero
Daniel Santiago & Pedro Martins 
Don’t DJ
Itiberê Orquestra Familia Japão 
Laraaji
Marco Benevento
Otomo Yoshihide – 大友良英
Quartabê
Sam Gendel
Svreca
Vessel & Pedro Maia present Queen of Golden Dogs
Wata Igarashi
YAKUSHIMA TREASURE(水曜日のカンパネラ×オオルタイチ)
悪魔の沼:
Compuma
Dr.Nishimura
Awano
チャッカーズ

…and more artists
※第4弾とタイムテーブルの発表は10/1ごろになります。

FESTIVAL de FRUE 2019 詳細

Playlist

Movies

Tom Zé

トン・ゼーは、ブラジル音楽というよりもポピュラー音楽史における無二無三=この世にただひとつだけで他に類がない音楽家の一人だ。60年代末のトロピカリアのバイプレイヤーは、90年代に入り再発見され当時の瑞々しさそのままに大河のごとく揺るぎない音楽を現在まで奏でてきた。
サイケデリックや前衛・実験性といったキーワードで長らく語られてきたが、根底にあるのは不朽かつ万能なブラジル北東部の伝統的な音楽の懐の深さだ。クラシックからヒップホップやエレクトロなど現代のポピュラー音楽まで自在に摂取できる柔軟性と芸術性に加え、ジャーナリスティックな視点から生み出されるシニカルな風刺や反骨精神など一貫したメッセージがトン・ゼーの音楽を形成している。

1936年ブラジル北東部バイーア州イララー出身。幼い頃にジャクソン・ド・パンデイロのコーコ、ルイス・ゴンザーガのフォホー、地元の伝承音楽などに影響を受けたという。1951年には州都のサルヴァドールに移り住みバイーア音楽大学で作曲やオーケストレーションなどを学んだ。
ブラジルで1960年代後半に起きたブラジルの芸術運動「トロピカリア」の初期からの主要メンバーの一人としても知られる。軍事政権への反対運動とリンクした音楽ムーブメントは、1963年はサルヴァドールで出会ったジルベルト・ジルとカエターノ・ヴェローゾ、マリア・ベターニア、ガル・コスタら気鋭の音楽家たちによる音楽イベントが原点となり、1964年の夏にはパブリックプロムナードで、カエターノ監修によるコンサートを成功させ、65年のイベント成功後には、彼らは揃ってレコード・デビューするなどプロのミュージシャンとしてスタートの切っ掛けとなった。
トン・ゼーもRCAからデビュー・シングルを発売し、同時期に作曲した「Parque Industrial」は、後に歴史的作品となるコンピレーション作『Tropicalia ou Panis et Circenses(トロピカリア)』(1968年)に収録され、ムーブメントの最大の盛り上がりの一端を担うこととなる。

トロピカリアはブラジルの軍事独裁政権への抵抗運動としてデモなどに発展したが、1968年末にカエターノ・ヴェローゾとジルベルト・ジルが逮捕されロンドンに亡命したことで一気に下火に。残されたトン・ゼーはリオやサンパウロなどの主要都市でライブ活動を続ける傍ら、サンパウロで音楽コースを開設、70年代に入る精力的にアルバムを発表し続ける。『TomZe』(1970年)『Tom Ze (Se O Caso E Chorar)』(1972年)、『TODOS OS OLHOS』(1973年)、『Estudando O Samba』(1976年)、『Correio Da Estacao Do Bras』(1978年)と現在は再評価されている作品群は当時は全く注目を浴びることもなく時代に埋没してしまい80年に入り『Nave Maria』(1984年)を発表後は故郷に戻り甥の経営するガソリンスタンドで働く不遇の日々を過ごすことになる。

一度は終わりかけていたトン・ゼーの音楽キャリアは、90年代に入りデヴィッド・バーンを通じて発見されたことで世界で脚光を浴びることとなる。1989年にリオ・デ・ジャネイロを訪れたバーンはレコード屋で『Estudando o Samba』を入手しその音楽に魅せられた。その後紆余曲折を経て本人を探し出し、主催レーベルLuaka Bopの最初のアーティストとして契約する。
1990年に過去作をコンパイルした『Brazil Classics, Vol. 4: The Best of Tom Ze – Massive Hits』のリリースで改めて国際的な評価を得たトン・ゼーは欧米でのライブも成功させる。続く実に8年ぶりとなる新作『Brazil Classics, Vol. 5: The Hips of Tradition』はトロピカリアから20数年を経て、その空気感をそのまま真空パックしたような普遍性を持った作風で驚きとともに迎えられ、続く『Com Defeito de Fabricacao (Fabrication Defect)』(1998年)では、ヒップホップやテクノにドラムマシーンなど現代な要素を取り入れつつも従来の音楽性がより時代に寄り添う形の名盤として高い評価を獲得した。

00年代に入っても2枚組の大作『Jogos de Armar(創作ゲーム)』(2001年)オペラ仕立ての『Pagode(パゴージ学習〜オペレッタ「女性差別と愛」)』(2006年)、ボサ・ノヴァに久々にフォーカスした『Estudando a Bossa: Nordeste Plaza』(2008年)、80歳になり発表した『CANCOES EROTICAS DE NINAR』(2016年)や子供向けに過去作をリメイクした最新アルバム『SEM VOCE NAO A』(2017年)となど旺盛な制作意欲とともに今世紀に入っても作品を発表し続けている。

(text by Hideki Hayasaka)